代表作「りんごとオレンジ」は
彼の絵の持つ魅力を余すところなく表現した名画である。
ありふれたモチーフを写実的に描いたかのように見える絵でありながら、
その中に現実ではありえない矛盾が潜んでいるのである。
この手法はまったく新しく、当初まったく認められなかったが、
画家たちだけはその魔性の魅力に打たれ、
我先に彼の絵を買い求めたという。
「居酒屋」で知られる小説家のエミール=ゾラとは
中学校時代以来の親友で、
互いに励ましあい、 作品を交換しあっていた。
ゾラは1886年にセザンヌをモデルとした自伝的著書「制作」を著した。
しかしこの作品で、画家は認められずに生涯を終え、
怒ったセザンヌはゾラとの長年の友情を絶たったといわれるが、
ゾラが1901年になくなったときは非常に彼を惜しんだという。
彼は非常に気難しい面をもっており、
インタビューに素直に答えることは極めてまれだったが、
「友情を信じるか」という問いには必ず「ウィ(はい)」と即答しており、
ゾラと二人で少年時代をすごしたエクス・アン・プロヴァンスの
サント・ヴィクトワール山を最高のモチーフとして生涯描き続けた。